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硬いジーンズ
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お気に入りの綿のTシャツがあって、
夏の真っ盛りにはTシャツ1枚で過ごして、
秋になって風が涼しくなってきたら、その上に綿か麻の白いシャツを羽織る。

木枯らしが吹いてきて肌寒く感じる頃になったら、
カシミアが少し入ったウールのセーターかカーディガンを白いシャツの上に着よう。
そして、靴を綿のスニーカーから革靴に履き替えるんだ。

いよいよ、冬がやってくるとなったら、
最後にウールのコートを羽織って出掛けたい。

春になって暖かくなると共に一枚ずつ脱いでまたTシャツに戻るんだ。
それで、破れたらまた同じのを買おう。
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もうファッションのことはこういう風にしか考えてなくて、
この通りにできるワードロープをここ数年、探している。通称「永遠アイテム」。
永遠アイテムはなかなか見つからなくて、ほとんど持ってなくていつもジプシーしている。
(今のところ、集まった永遠アイテムは永遠スニーカー、永遠サンダルくらい。)
服はいつかダメになるから、こういう定番アイテムをいつもきちんと作っているところに
出会いたいのだが、なかなか見つからなくて時々やきもきする。

それで、このお正月に永遠アイテムをやっと見つけた。永遠ジーンズ、発見!!

ジーンズはいつの間にか変わってしまって、本当は新品のノンウォッシュの糊で
固まったようなゴワゴワな生地のを、はいてはいて、寝る間も惜しんで毎日はいて、
洗わないでおくか、一回水を通してみるか悩んで風呂場の脱衣所に置いてたら、
いつの間にか綺麗に洗濯されてタンスに収まっていたのを見て、
物凄くがっかりして腹が立って腹が立って怒鳴りに行こうかと思ったけど、
置いてた自分が一番悪い、バカバカバカってジーンズに顔を埋めたら、
石鹸の香りが漂ってきて、まぁいっかっていうのを繰り返すと言うか、何というか。

ただの布だったのを、自分の体にぴたっと寄り添っていくのを楽しんでいく、
私にとって何か特別なファッションだったはずだったのに。

いつの間にか、店に並んでいる時から、きれいに縦落ちしてたり、ほつれ掛けてたりして、
絶対ペンキなんか塗ったことのないような娘がペンキなんかつけちゃったりしてなぁ。
ほんと、がっかり、しょんぼり。

かく言う私も時流に乗って、ジーンズを育てることを忘れ、そういった類のジーンズを
買ってはくようになって数年、最初からUSED加工されているから当たり前、
破れるのがとにかく早い。作業着だったはずで丈夫であったはずのジーンズが
とにかく弱い、弱いのよ。なんじゃ、この貧弱さは!けしからん。

2%のポリウレタンで伸縮性を良くしました、じゃない!じゃない!
違うの、ジーンズは硬くてはきにくいモノなのよ。
はき難かったジーンズが努力によっていつか柔らかくなるのよ。
そうじゃなくなったらジーンズじゃないのよぉ。

と思っていたので、買い物に出掛けるたびジーンズを探していました。
まず高校生の時に気に入って育て上げたLEEを探しましたが、
時代はLEEとコラボレートです。色々なファッションブランドがLEEとコラボして
色々なジーンズを作るOEMみたいなのばっかりで、かっこいいのもありますが、
やっぱり加工されていて、お値段が張ります。ダメです。
(そんなことを言いながら、数年前ヤフオクでLEEのOEMを買って気に入って
 はいてますが、パン屋ではいてたら穴があいてしまい、ションボリです。)

ちなみに高校生の時に買ったLEEはメンズの一番小さいサイズのものだったのです。
女性モノはおへその下まで股上がある時代で、ダサくて耐えられなかったです。
ジーンズは腰だろ!と思っていたのですが、年々股上が下がっていくものの、
腰までは至らず、微妙なラインでした。今でこそ腰ばきが当たり前の時代ですが、
当時は全然浅くはける女性物のジーンズなんてありませんでした。今の腰ばきは逆に
浅すぎてダメですが。オバサンになると腰は冷やしちゃいかんのです。
リーバイスの17501が男物の501の女性版だなんて聞いて試したこともありましたが、
LEEの方が色落ちが断然好みで、ジーンズはLEE派です。

時代が変わり20代前半にいい感じに縦落ちしてきたLEEにもうちょっと癖が欲しいと、
軽石でこすったり、石鹸水で揉んだり、針でつついたりしてちょっとしたダメージ加工を
自分で施して気に入って毎日はいていました。20代中盤になるとかなりダメージがきつくなり、
ぼろぼろになり、引退の時が訪れました。ボロボロになっても愛着がありすぎて思い出が
ありすぎて捨てられません。そこで、バックにして活躍してもらうことにしました。
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古いゴブラン織りのようなゴールドの生地は、代官山で買ったいつか使おうと温めていた布です。
ジャスコで取っ手を買って手縫いで丁寧に作りました。着なくなったホルターネックの皮ひもを
ベルトループに通して作ったこのバックは今でも気に入っていますが、取っ手がとれてしまって
きたので修理しなければなりません。修理したらまたきっと使うと思います。
これこそ永遠ジーンズです。高校生の時にお金を溜めて買ったジーンズが20年近く経った
今でも愛されています、最高です。こんな出会いが欲しいです。
私は、いつでも青春をぶら下げて歩くことができるのです!

時代はいつからかダメージ加工からキレイ目ジーンズに。
私の趣味ももうそろそろ大人っぽくということでLEEからシマロンに乗り換えて、
しばらく気に入ってはいていましたが、体に沿いすぎるジーンズは年々きつくなります。
体が着物の中である程度泳いで欲しいです。

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そうこうして、たどり着いた永遠ジーンズはA.P.C.のモノでした。
実は、20代前半にLEEのジーンズと平行して気に入ってはいていたのがA.P.C.のデニムでした。
雑誌の編集部でバイトしていた時、よく服を編集の人からもらいました。
A.P.C.のジーンズのサイズが合わなくなったと1000円で譲ってもらい、かなり気に入って
はきこんでいましたが、残念、股上が深いんです。股上が深いとお尻のラインがきれいに
出ないので、色落ち、はくにつれての馴染み感ともに最高だったのに、本当に惜しい
ジーンズで、もったいないジーンズだったのです。

この正月に久しぶりにA.P.C.(アウトレット)に行ってジーンズを物色していると、
ストレッチがきいたのしかなくて店員さんに聞くと、10年ほど前に出たジーンズが
定番商品であると言います。でもそれは股上が深くてもったいないジーンズですと言うと、
いえいえ、その形を変えずに股上を浅くしたバージョンが出てますと言うのです!
さらに膝下のもたつきを押さえたバージョンも出てますと言うのです!
「でかした!A.P.C.!」とは言いませんでしたが、早速試着してみました。

硬いです、硬すぎて懐かしいです。あぁ、ジーンズってこうだった…感慨深いです。
ボタンフライが硬すぎてボタンホールにうまく入りません。お腹を引っ込めて
真冬に汗をかきながら試着をするのです。店員さんは1サイズ大きいのを
はきたがる私を制してこう言います。2週間我慢してください、お客様にはこのサイズが
最適なのです!そこまで言われると自信が沸いてきます。10年前にはいていたジーンズは
確かに緩かった、はくほどに緩くなってもたつきました。
10年前より1サイズ小さめを買うことにかなりの抵抗を見せましたが、
断固店員さんに拒否されます、その姿、店員さんあっぱれです、そういうの嫌いじゃありません!
自分の店の商品にキチッとしたポリシーが見られ嬉しくなり、言うことを聞くことにしました。

それから1週間が経ちました。経過はかなり順調です。
どんどん生地が柔らかくなるこの感じ、ボタンフライを留める速度が速くなってくこの感じ。
トイレに行くのが大分億劫じゃなくなってきました。
いいです、もう一本欲しいです。クルクル回してはきたいです。気に入りました。
ジーンズとしての価格は私にとってかなり高価な部類でしたが、いい買い物しました。
とても満足しています。これで10年は確実にはけるならOKです(実証済み)。
本当はもう一本買って2つで回して30年といきたいところですが、
それはもうちょっと働いてからのお楽しみにとっておくことにします。

しかし、昨今つまらなくなったアウトレットですが、A.P.C.は変わらず好きでした。
アウトレットオリジナルの変な質を落とした商品も作らず、プロパー価格で売っていた
商品は、同じ縫製、同じデザインですが、余り生地を使い価格を落としているそうです。
質を落とさずお客様にいいものを提供する姿勢はとてもいいですね。
デザインに目新しさを求めない私のような人間にはピッタリです。
その姿勢のまま、変わらず商品を作っていってほしいと思いました。
遠いですが、また時々買い物にいきたいと思います。
(って思ってたけど、A.P.C.もオンラインショップが出来てネットで買える!
 時代は変わったなぁ。でもやっぱ店舗がいいね、服は試着しないとね。)

佐野プレミアムアウトレット
ちなみにアウトレット店ではプロパー価格の5%OFFでジーンズを販売してました。

「ジーンズとは柔らかくするものなのだ。」byわざわざさん (深い意味は全くありません)
by wazawazapan | 2011-01-08 09:30 | ストーリーのあるモノたち


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