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「この人の器を何枚売ったかわからない」と言ったのはべにやのご主人で、
私が白磁の7寸皿をまとめ買いした時にご主人がこう呟いたのだった。

私は角さんの器をこれから何枚売ることができるだろうか?と時々思う。
べにやのご主人が遠くを見ながら昔を懐かしみ、買っていったお客様のことを思い出したように、
私にとって角さんの器を売ることが何か特別なことになっていくような気がしている。
これから何年もの積み重ねの中で、素晴らしい出会いを皆さんにお裾分けできたらと思う。

角さんの工房にまた器を取りに行く。
取り留めのない器話の中で、色々なことを教えてもらい、
自分が何故角さんの器に心惹かれるのか、ぼやけていた景色がくっきりしていくように、
会話を重ねるうちに謎が解けていく。それが楽しくて楽しくて、また好きになる。

角さんは御牧原の粘土と信楽の土を混ぜて土を作る。
ざぶんと釉薬をかけたシンプルな器の中に表情があるのは、その土作りのお陰なのだ。
(もちろん、角さんが生み出すフォルムや熟練の技があるという大前提で)
鉄分が豊富で様々な成分が混在する御牧の土が、釉薬と反応し独特の表情を生む。

赤土で白い器を作るにはたくさんの困難があるだろうが、
それを逆手にとって微塵にも感じさせないその作品。

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白化粧の上に銀

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白化粧に呉須のライン

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白化粧に御牧の土を混ぜたもの+繊細な図柄

角さんの器は今出来たばかりなのに、新しいのにアンティークのような雰囲気ですね。と言うと、
そう!そう!私それ狙ってるのよ。と角さんは言った。

質感とデザイン、信じられない薄さ・軽さ。
そして日常使いに相応しい頑丈さ。
高い?イヤイヤ、安すぎますよ。
一つでも手にしてみることをお勧めします。
価値観の変化が自分の中で起こるでしょう。

手にした瞬間に想像したより軽い、その"想像したより軽い"感じを大事にしたいと
角さんは言います。そういう軽さが心のゆとりや余裕になったり、
自分を豊かにしてくれるような気がするとおっしゃっていました。

そうですね、使うたびにその軽さからゆとりを与えられている気がします。
数分のお茶の時間で心が休まることを感じているのは、私だけではない気がします。
最近は、夫や娘も器の楽しみを感じてくれるようになりました。

毎回毎回、角さんは私に色々なことを教えてくださいます。
またそんなこと、皆さんにお伝えできればと思います。

新しい作品、入荷しています。
セールと同時にお楽しみください。
(角さんの無地皿シリーズの一部がセール対象になっています。
残り少なくなってきました、お早めにどうぞ。)

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+新商品入荷情報

ブリキ茶筒小、ブリキ四角缶大、本皮財布、ノートなど
角りわ子さんのポット、器など各種
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by wazawazapan | 2010-07-08 07:23 | ストーリーのあるモノたち
角りわ子さんの器
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昨日、こんな記事を書いておいて、こんなタイミングで角さんの器を入荷して、
イヤラシイなぁなんて思わないでください(笑)

今日、角さんの工房に取りに行ってきました。今週末のお店から並びます。
わざわざ用に作ってもらったシンプル仕様のものと、
写真のような意匠をほどこされたモノ。
(上記の写真は全てぐいのみです。小さくて凄くいいです。)
これから少しづつブログでも紹介していきます。

オンラインショップ改装も90%くらい進みました。もうちょっとしたら公開します。
角さんの器も順に載せていきます。

パン買うついでに器をなのか、
器を買いに来たついでにパン買ってもらうのか。
う~ん、後者、かな。後者がいい。

角さんの紹介ページはこちら。
おいしい器1
おいしい器2
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by wazawazapan | 2010-04-20 15:52 | ストーリーのあるモノたち
おいしい器 2
「パンと雑貨の店なのですが、貴社の商品orあなたの作品をどうしても置かせて
いただきたいのです」と言うと、世の中の人は大抵2種類の反応を示す。
「パンですか?!面白いですね!」と興味津々で話を聞いてくださる方、
うんともすんとも言わない方(相手にしてくれません)。
私は運がとてもよく幸い前者の方に出会うことが多く、とても助かっているのだが、
後者の人と出会ったとしてもさして気にならない。
仕方ないなぁと縁がなかったのだなぁとこちらもともかく言わない。
それで終わりなのである。人の縁とはそんなものだと思っている。
私は商品をいつも探しているようで、人の縁を探しているのだなと時々思う。

角さんに初めて器を置きたいと言った時、「置かせてくれるの?」と
嬉しそうに言われたことが一番の驚きだった。
こういった場合、私は新米パン屋なわけで、角さんは個展を銀座やソウルで行っているような
陶芸家であり、水上先生の一番弟子であり、人生の先輩であるのに、そういう人が
私のような年下のチンチクリンに置かせてくれるの?と言うんです。
しかもパン屋ですから。私は目を丸くしました、そして、
こちらこそ置いていただけるのですか!となったのです。

角さんの工房に着くと、総勢5匹のワンちゃんがお出迎え。
お絵かきセットを持参して、ワンちゃんを描くんだと息巻いていた娘も、
大型犬たちが一斉に吠える様に、一瞬で泣き顔に。

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つづきはこちらから
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by wazawazapan | 2010-02-09 08:02 | ストーリーのあるモノたち
おいしい器 1
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お店のある東御市はほんの数年前まで北御牧村という村だった。
旧東部町と旧北御牧村の合併で東御市(とうみし)となったのだが、
旧北御牧村には二つの山があって、ウチが方が御牧原、もう一つの山は八重原。
どちらも小高い山の上が平地になっていて、遠くの山々が目に美しく、
外からの移住者が比較的多いことも頷ける。

八重原は作家の故水上勉先生が晩年過ごされた地でもあり、今でも水上先生の小屋があり
その周辺にかつてのお弟子さん達が住み、今でも創作活動を続けておられる。

そのお弟子さんの一人に陶芸家の角りわ子さんがいる。
角さんとの出会いは1年半前の東御のアートフェスティバルだった。
アートフェスティバルでは陶器市がある。器好きとしては見逃せないイベントだった。

朝一に出かけ、駆け足で会場に着き、早足で全ブースを回る。
とりあえず、ここもダメ、あそこもダメ、ぁあー所詮、田舎の陶器市こんなもんか・・・
と思った瞬間、すげぇ格違いのブースが現れる。角さんの陶器だった。

机の上に無造作に並べられた陶器たちが輝きを放っている。もう目が釘付け。
持つと薄くて軽い。繊細なデザインなのに持った感じがいかにも作家ものと言う雰囲気ではなく、
何だか日常に使ってこその、デザインされつつ使いやすそう。これってあんまりない。
作家モノと職人さんものの良いところを併せ持った感じで、ともかく凄く使いやすそう。
スタッキングできそうだし、もう、この軽さは衝撃。
そこで購入した食器は今も毎日活躍している。

帰ってから即効パンを仕込み、翌日、もう一度そこへ行き、パンを渡す。
素晴らしい陶器を売っていただいた御礼をたかだかパンで済まそうとしたのだった。

それから、角さんの工房を訪ねたり、角さんの個展に行ったり。
いつも思うけど、素晴らしい作品を作る人というのは本当に人柄も素晴らしいのだ。
話していることで心が安らぎ、様々なことを勉強させてもらえる。
心から出会えてよかったと思えるのだった。

今日は角さんの工房に遊びに行ってきた。
実はわざわざに角さんの器を置かせてもらえる約束が実現することになったのだ。
(パン屋に器を置く…変なパン屋だと断らない角さんが好き)

続く。
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by wazawazapan | 2010-02-08 13:40 | ストーリーのあるモノたち
必然の出会い
古いガラス戸をガラガラッと引いて入ると、大きなダンボールが3つ並んでいる。
「来たな」と思いながら、部屋の奥に視線を移すと、おじさんが「来ましたよ」と笑顔で挨拶をしてくれる。
ああ、あの時と同じだなと、2年程前に小鹿田焼の小皿を揃いで買った時のことを思い出した。

7年前、東京から小諸に越して来た時、やっぱり懐古園に行ったのだが、懐古園はそこそこに、
程近い「べにや民芸店」が気になって気になって仕方なかった。
古びた漆喰の壁に木枠のガラス戸のはまった味のある概観で、中にポツリポツリと陶器などが
並んでいるのが見える。入ってみると、品のいいお茶碗たちが整然と並んで、
カゴや麻布なんかもある。ひとつひとつ手にとっていいものだなぁと思いながら値段を見ると、
どれも少しがんばれば手に入れられるような価格で、よしここに通おうと心の中で決め、
特に何も買わず出てきたのだった。

それから酷い時は毎週、月に1回は絶対、通うことになるのだが、ほとんど何も買わず、
いつもおじさんがいらっしゃいと言い、私は軽く頭を下げ、商品の陳列が変わったなとか、
少しの変化も見逃さないように店内をグルッと一周して、また、あのガラス戸をガラガラッと
開けて出て行く。時々、日本酒は飲まないけどお猪口なんかを買ったり(お猪口にバターを
入れて出すのが好き)、時々、麻布を買って暖簾を縫ったり、行く頻度の割にものすごい
購入頻度が少ない。

私はこういう時、非常に無口で、月に何度も通ってもおじさんに話しかけることもなく、
ただ時々、欲しいなぁと眺めていたものが、他の誰かの手に渡ってなくなった時、
本当に欲しかったことに気づいて「アレは今度はいつ入りますか?」と聞くのだった。

そのアレの一つに小鹿田焼の飛び鉋の皿があって、2年程前、大きなダンボールの中から
新聞紙に包まれたお皿を出しながらおじさんが「来ましたよ」とにっこり笑ってくれたのだった。
もう嬉しくて嬉しくて、「手伝っても良いですか?」とたくさんの新聞紙を掻き分けて、
皿を夢中で眺めながら、小鹿田の里の話などずっと聞きたかったお皿の話に花が咲いたのだった。
買う気もなく寄るので金もない悪い客の私は、もちろん、財布の中にお金などなく、
小鹿田の皿は取り置きさせてもらい、次の日すぐ取りに行ったのだった。

友人に新築祝いに何が欲しい?と聞かれた時、「べにや」で何かを買ってくれないか?と
頼んだり(通称べにやしばり)、小諸に来てから増えたものはべにやさんのモノが多い。
とっても好きで、これからも通いたい、大好きなお店。

以前から気になっていた白磁のお皿が今度入荷するからまたおいでとおじさんに言われて、
隙を見つけて毎週のように通う。しかし、なかなか予定通りに荷物が届かず、
ごめんね、来週くらいかななんてそんな会話が3回くらい。
それで、今日、「来ましたよ」となったわけで。

「僕は他の仕事があるから、好きに広げて開けて良いよ」と鋏を渡され、荷を解く。
今度は何かな?とワクワクしながら新聞紙を開ける作業はとても楽しく、おじさんが時々、
何かいいのあった?と様子を見に来て、これは素晴らしい!このシノギのバランスが凄いだの、
二人で盛り上がる。今回の荷には7寸のお皿はないのですか?なんて、ずっと
探していた白磁の7寸皿を目を皿のようにして探すが中々みつからず。あ~ないんだぁ。と
がっくりしていると最後の荷から出てきたのです!

1枚の皿を持って2階に駆け上がり、「ありました!」とおじさんに興奮気味に言うと、
どれ、良いのを見つけたねと言いながら、キッチンの中から同じ白磁の7寸皿を持ってきてくれた。
ずっと以前にお店用にこの皿を買ったと言う。
時間の経ったその皿は少し味が出て、ひっくり返すと高台がいい感じに古びて雰囲気がよい。
伝票を渡されていくらだか見てご覧。思っていたのと同じくらいの値段。
何枚欲しいの?全部もらって良いですか?と5枚。

サンタさんからクリスマス後にプレゼントです。パン屋がんばったね、お皿あげますよ。
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by wazawazapan | 2009-12-27 20:35 | パン屋の休日