カテゴリ:パン考( 42 )
酸味について考える
コメントでパンの酸味について質問をありました。
今日は私なりに自家製酵母パンの酸味についてお話したいと思います。

自家製酵母のパンの代名詞とも言える「酸味」だが、
わざわざのパンの自家製酵母で作るパンのほとんどは、酸味を感じさせないように作っている。
(こうぼ山食とご飯みたいなカンパーニュについては例外で、あえて少し酸味を出す。)

自家製酵母のパンの酸味の原因は、主に酢酸菌や乳酸菌が活発になった結果である。
空気中には無数に浮遊している菌があり、そこで酵母液を培養すると、
酵母液に空気中の様々な菌が繁殖し活発化して酵母ができあがる。
酵母を培養する際、酢酸菌や乳酸菌が優位な条件を作らず、活発に活動させないことが
酸味のないパンの作り方と言えるだろう。

なんのこっちゃと思われるかもしれませんが、パン作りは科学です。
詳しいことはこちらのサイトによく書いてありましたのでご参考までに
このことを大前提に考えれば、酸味のないパン作りはそれほど難しいことではありません。
ですが、私もいまだに失敗して酷い酸味のパンを焼くことがあります。
それは工房の環境を一定にできないことが原因であるのですが、
一定の環境でない場所で、職人的感を研ぎ澄ますことに楽しみを見出しています。

(質問)
レーズン酵母の場合、酵母が弱く発酵に時間がかかって膨らまないと、
酸味のあるパンになりました。最近小麦から酵母をおこしました。
焼き色はあまりよくないけれど酸味のないパンが焼けてました。
そして一昨日、久々に会心の作のパンができた!
と喜んで食べてみたら、かすかに酸味がありました。
わざわざさんの酵母は小麦ですよね。でも酸味がないですよね。
今までは酵母が弱いと酸味がでると思っていたのですが、
今回の小麦酵母は酵母は強くても酸味がでる・・・
酸味のない酵母をおこすコツはなんなんでしょうか。

さて、先ほどの話を踏まえて話すと、質問中の「レーズン酵母で酸味のあるパンが焼けた」
ということですが、これはレーズンで起こしたという点が原因ではありません。
単純に発酵力が弱いということですので、酵母の中に発酵を司る菌以外の菌=乳酸菌や酢酸菌が
多いためと言えます。だから必然的にパンは酸っぱくなります。
発酵力の弱い元種では酸味のないパンは焼けません。
酵母の起こし方で雑菌がより多く混ざっている場合が多いです。

「小麦の酵母で強くても酸味が出る」という点ですが、これも小麦の酵母という点は
原因ではないと思います。「焼き色はあまりよくないけれど酸味のないパンが焼けていた」というのは、
1次発酵又は2次発酵が未熟で、充分に小麦粉のデンプンをブドウ糖にを分解できなかったためです。
きちんとした発酵ができていれば、デンプンがブドウ糖に分解され、焼き色がきれいにつきます。
焼き色は生地内の糖分や油分が色づいて付くものです。発酵が未熟な場合や
ブドウ糖が菌に全て食べつくされてしまった過発酵の状態では色が付きません。
この場合、酸味がなかったということですから未発酵の状態です。過発酵の状態は酸味が出ます。

発酵力が強い種で酸味が出る場合、温度管理の問題が大きいです。
まずは捏ね上げ温度、ここで30度をオーバーしていたらパンに酸味が出る可能性が
大きくなります。乳酸菌は30度を超えると活発に活動を始めます。
その外に1次発酵、2次発酵の温度管理の問題も影響します。低温で長時間発酵させることに
よって生地温度を抑えることができ、パンの酸味を抑えられます。

その他にも酵母の好むPhなどの問題がありますが、Phなんか一々計測してパン作りは
していませんので、気温と生地温度、後は職人的感のMIX、まぁいつもどおり大体の
パン作りによる適当な論理なので、あんまりアテにはできませんが、
それでも以下の点は経験に基づいたい実感で、パン屋がどうにかできてますので、
大いに参考にしていただきたいと思います。

つまりは、
・発酵力の強い元種を使用し、
・捏ね上げ温度を低めにし、
・低温で発酵させる
ことによって酸味の出にくいパンを焼くことができます。
ただ、こうは言っても、これが難しいんですね。

夏場のパン作りは、温度管理が非常に難しくなりますので、
工房を一定の温度に保てていない状況下では酸味のないパンを焼くのはかなり難しいです。
現状、私のパンも冬場より夏場は若干酸味があります。
ですが、夏って酸っぱいものを食べたくなりますから、それもいいかと容認しちゃったりして、
結構楽な気持ちで今は作ってます。

わざわざではパンを焼くために、酵母のリフレッシュ(種継)をかなり頻繁に行っています。
・パンを焼く前日には必ずリフレッシュ
・低温で元種を保存
・1、2日置きに元種を継ぐ

上記のような頻繁なリフレッシュにより発酵力の強い元種を維持しています。
元種がイケてないとパンはイケなくなりますので、とても大事です。

酵母の強さや酢酸菌や乳酸菌の発生状態について、簡単にわかる方法があります。
元種を食べると一発でわかります。毎回食べて味を覚えてください。
舌につく酸味がある酵母では酸味のあるパンしか焼けません。
うちの酵母は甘いです。すごくいい小麦のいい香りがします。
酸味はほとんどありません。

元種に酸味が出てしまった場合、リカバリーする方法があります。
私も何度かやってしまったのをこの方法でカバーでしていますが、
これは家庭でやると物凄い酵母量になるのであまりお勧めできないかもしれません。

・酸味の出た酵母を100g取り出し、その3倍量くらいの小麦粉でリフレッシュします。
・室温で2倍くらいになったら、さらに3倍量くらいの小麦粉でリフレッシュ。
・それでまた室温で2倍。その後さらに3倍量の小麦粉でリフレッシュ後、低温で発酵させます。
(室温は20度前後が最適かも。気温が高いと難しいです。)
 
ここまでは1日でやります。短時間で急激に粉量を増やして発酵させることによって
酵母菌上位の状態を作れます。酢酸菌や乳酸菌の活動がかなり抑えられるはずです。
これで酸味がほぼ消えてきますが、まだ感じられる場合は繰り返していきます。
短時間で急激に元種量を増やすのが、経験に基づくポイントです。
うちでは5キロほどの元種を管理しているので、できるやり方ですが、家庭だとキツイです。
新しく酵母液を培養した方がよいかもしれません。
私はこのやり方で、元種のリカバリーに成功を収めてますが、
粉量を減らしてできるかは全く試していませんので、あしからず。

ご飯みたいなカンパーニュは少し変わった作り方をしています。
2次発酵の過程で酸味を少し出すように調整します。生地作りと発酵時間の関係の微調整です。

こうぼ山食は捏ね上げ温度をわざわざの他のパンより高くしています。
なので酸味が出ます。こういうパンがお好きなための方へのパンです。
私も時々食べますが、これは乳酸菌がちょろっと利いた感じのパンです。
酢酸菌まで行くと、かなり酸っぱいですから。

ということで、今現時点で考えられるパンと酸味の関係です。
この記述は2010/11/22に書きました。経験則に偏るところが多く、未熟な可能性があります。
どうぞ皆さん、お手柔らかにお願いします。

PS
ある程度パン作りを楽しみ時間が経ち、疑問が出てきたら(パン「こつ」の科学 吉野 精一 (著))の
購入をお勧めします。パンの科学入門編で非常にわかりやすいです。
(時々疑問の残る解釈もありますが・・・)
これ一冊頭に入ってれば、パン屋クラスの大抵の疑問は解決できます。
それ以上の知識をお求めの場合は、生物化学、微生物学、有機化学なんかを
勉強しないといけません。家庭で楽しく焼く分にはこの本の知識で充分だと思います。
是非読んでみてくださいね^^
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by wazawazapan | 2010-11-23 08:43 | パン考
こだわらない。
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粉に水を入れた途端、感じるこの危うさ。
これは地粉特有の粘り。あぁ来た!
捏ねるまでもなく、焼くまでもなく、この生地はダメという時がある。
そういう時は灰分の高い粉と、蛋白量の多い粉を足してやって、
パンチをして何とか生地に腰をつける。後は焼いてみてから考えよう。

と、アレです。

ミマキの試作しております。

何回焼いてもダメですね。味はいいというのは逃げ口上で、
味がいいだけでは売り物にはなりません。
味がいい=おいしいではないから。
おいしいは味がよくて食感がよくて、後味がよくて総合的においしいということで
ただ味がよいだけではないということ。だからこのパンはダメ。

地元産の粉100%のパンは諦めようという方向に転換してきました。
何%か国産の粉をブレンドする方向に、心変わりしてます。

と、アレです。

自然素材の服を好んで着ていますが、生地のストレッチ確保のためのレーヨンとか
靴下の5%のポリエステルとか、そういうのに目をつぶる感覚です。
なるべくぐらいがちょうどいいです。

今日はイガチクオレゴン90%くらいで試作。
ほんと、味はいい。。困ったなぁ。。。
粉の手触り、見た目からシラネが一瞬頭をよぎってこれはダメかもって思ったんだけど、
焼き上がりの仕上がりが重くてやっぱりだめだったと思ったんだけど、
なんかおいしい。。それがすっごく不思議で、どっしりとしすぎて軽さもなく引きも弱いのに
何故か舌に残るおいしさがあって、後を引く。

今までウチのパンになかった味わいがあります。とてもおいしいです。
ですが、やっぱ食感が重い。窯伸びが悪いです。
蛋白含有量が絶対的に足りないです。
これは準強力粉らしいけど、中力粉に特性はかなり近いんじゃないかと思う。
何回パンチ入れても生地に腰が全くつかないし、成形も丸めるので精一杯。ダルダル。
なのに、割と気泡はあって・・・。う~ん、よくわからんです。

さぁて、また焼きますか。
何度も何度もやるとだんだんわかってくるのがパンですもの。
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by wazawazapan | 2010-08-18 09:13 | パン考
連日試作
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(左:夢あさひ75% ハルユタカ25% 右:夢あさひ50% ハルユタカ50% 生地量300gのいつもより太目ちゃん)

今日も相変わらず長文です。
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by wazawazapan | 2010-07-12 07:39 | パン考
小麦粉のこと
さぁ、皆さん、わざわざはセール期間中です。
是非足を運んでくださいね。商品色々入荷してます。
以下、溜まった記事を投稿します。
わざわざさん、めっちゃ今パン作りにハマってます。
(あっ、今に限ったことじゃないか・・・私ってアホね)

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小麦粉に関してはもうある程度決めていて、
もうパンを焼き始めてからずっとメインで使っているのが、
北海道産の小麦を配合したTYPE ER。それだけだとバリエーションが作れないから
今は4種類の北海道産の小麦を各パンで配合して使っている。

何でERかと言うと、悪い癖もいい所もわかりきった付き合いの長い相棒という感じで、
決して使いやすい粉ではないけど、一番は最高に仕上げた時の甘みが気に入っている。
あとはコストパフォーマンス、それから信頼感で使い続けている。

地元の粉で使っているのは、今は菓子類に使っている地粉=シラネ。
シラネで何度もパンに挑戦してみたけど、煎餅みたいな味になってやっぱダメ。
こいつはうどんとお好み焼きとお菓子がいい。

最近、ご縁があって、地元産の無農薬栽培のはるゆたかと夢あさひを分けて頂くことができた。
早速パンを焼く。地元産の粉で焼きたいという気持ちは高まっていて
何を焼くかも、どんな配合かも、何て名前で売るかもとっくに決まってる。
チャンスがあれば出したいといつも思っていた。

みまきバゲット、とか、みまき、で。

御牧原の材料だけでいつかパンを焼きたいなぁと思っていて、
それでみまきってパンがこの辺でしか絶対食べられないっていい。
いつか根付いて地元の人が自慢できるようなパンになれば最高だし、
それくらいの旨いパンを作ってみたい。

今回の小麦粉は御牧原産ではないけれど、地粉バゲットとか。
何かそんな冠を被せて、堂々と作りたい。

で、これ。試作第一弾。
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(左:夢あさひ100% 右:ハルユタカ100%)

ハルユタカは昔から何度も使ったことがある粉で全然心配していなかったのに、
粉の色からして製粉所から買ったのとは違って、水を入れた瞬間から様子が
おかしかったので案の定の出来。この粉は石臼引きかな?色が濃く灰分がかなり高そう。

成形すらままならなかったのでパンになっただけマシか。。
カットしてみると、詰まってはいるものの、香りはいいし、なかなか甘みもある。
思ったより食べれたので、見た目とのギャップで驚いた。
かなりダレたので酸味が出ると思ったが全くなし。

夢あさひはかなりの好印象。給水もいいし、中々使いやすい。
窯伸びもよく、ボリュームがかなり出る。
クープ入れる時に他のこと考えてて、逆に入れてしまった…アホ。
特筆すべきはその断面。カットした瞬間に見たことのない内相にドキドキする。

気泡と気泡の間の膜がERで作った時よりずっと厚い。厚い壁と壁の間の食感が今までにない。
もっちり感が強く、引きも強い。面白い。うちのパンの気泡にはないタイプ。
ただ味が少しだけ他に比べると淡白。時間が経つ中でどのように変化するか確かめたい。

同時間焼成したにもかかわらず、ハルユタカの方が遥かに色が濃く焼きあがった。
ハルユタカの方が糖分が高い印だと思う。発酵過程で引き出せたのかもしれないが、
夢あさひはかなりうまく1次発酵できたので、持ってる甘みの違いだと思う。

この一回のテストでそれぞれの粉の特徴がわかったので、
今日また違う配合で仕込んだ。焼くのが楽しみで仕方ない。

さぁ、やりますよっ。
いつか販売できる日がきますように。
おいしいの作りたいなぁ~。

ね、ねっ、ドキドキするでしょ。
地元の粉でパン焼くなんて、しかもその粉がおいしいだなんて。
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by wazawazapan | 2010-07-09 19:13 | パン考
どこが魅力でそのオーブンを手に入れられたんですか?
と聞かれ、あぁそこだよなぁ、そこ気になるよなぁと気づきました。
keiさんありがとうございます。

パン屋のオーブンは大体が電気オーブンだと思う。
私が開業するにあたってオーブンを買おうと調べた時、電気オーブンが主流で
中古の市場でも出てくるのは電気オーブンがほとんどだった。

でも初めから電気オーブンを買う気はなかった。
理由はシンプル。火が好きだから。

本当は薪釜を作ってパン屋をやろうと思っていたけど、石窯の作り方の本を何度も図書館で借りて
読むうちに、薪の調達や温度管理の難しさ、一人でパン屋を運営するにあたって接客は無理なこと
など一人でやるにはあまりにも現実からかけ離れているなぁと、それはやっていく中でだんだんと
やっていけばいいと考えるようになった。

自宅を新築する際に、IHで料理する気が起こらなかったのは、IHだって火力が強いとか
そういうことじゃなくて、火の方が旨いから。それだけだったのだけど、そういってもわかって
もらえないことが多かった。

電気オーブンで焼いた焼き鳥より、ガス火で焼いた焼き鳥で、ガス火より炭火。
単純にそれだけの理由で、パンも電気より火で焼いた方が旨いに決まっているという思い込みだけで、
買っていて、ほとんど比較検討もしていない。

あと今持ってるオーブンは安かった。小型でガスで安いのがよかった。
お店の人はハード系じゃスチームが入らないと無理でしょ?といわれたけど、
スチームなんか手で入れればいいしと特に気にならなかった。

風があんなに強いとは思わなかったけど。これは誤算だった。
パンは乾燥に弱いからこれにはかなり苦戦した。

こんな話をしながらもう既に(ご存知の通り)電気式石窯オーブンを購入済みで
矛盾しているのは、蓄熱させる床が欲しいというのと、風のないのが欲しいというのと、
そのオーブンの見た目があまりにもいかつくてかっこよかったのと、やっぱ安かった(笑)
(あんだけデカイのにアレしか焼くところがないという不便かつ不合理なオーブン。
だけどかっこよかった。あとやっぱ安かった←ドケチ)

いつかは2台にしてパンによって最良に焼けるオーブンで焼いて、
その間に石窯作る!と目論見中です。

ガスで焼いて、電気の石窯で焼いて、色んなこと試しながら、経験積んで
遠回りしたりしながら、美味しいパン作っていきたいです。がんばります!

食事の定点観測 7日目(3/16)
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by wazawazapan | 2010-03-16 08:34 | パン考
理想のバゲットができるまで 6 -安定-
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(今年1月に書いた記事です。本日、記事2本投稿してます、
 このシリーズ次の7で完結します。連続でお楽しみ下さい。)

年末年始のバゲット再考により、出来が大分安定してきた。
それでも毎回焼くバゲットの全てが満足いく出来になるわけではなく、
一日も早く均等に安定した商品を焼けるようになりたい。

今日の営業で焼いたこのバゲットは、ご予約のお客様のもとへ旅立った。

レシピをアレコレいじって水分量をむやみに増やしたりすることが、最良ということではなく、
工程や管理の方法を均一にし、ブレを最小限にとどめ、安定したパンを焼くことが大切だと気づいた。
来ていただいたお客様に毎回、買いにきてよかったと思ってもらえるように、がんばろう。
自分にはたくさんのパンでもお客様にはたった一つのパンだということを忘れずに。

作り方はよりシンプルに、そして工程は正確になってきた。

バゲットを作るときには必ずタイマーでアラームを鳴らしながら作ることで
営業中に他のことをしながらでもできそうな感じ。

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成形前のベンチタイム中。
成形前のこの丸めで形が決まる。ここで均等に切り分け・丸めができないと同じ形に揃わない。
写真を見て、一言、まだまだなぁ・・・。

久しぶりの営業日の大量焼き、やっぱ楽しい。
捏ねてる時は「はぁ~しんど」、成形してるときは「まだあるのぉ?」
そして、焼き上がったパンが釜から出てくる時に、沸々と喜びが込みあがり。
このサイクル、やめられませんなぁ。

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以上、今年1月に書いた記事です。

食事の定点観測 5日目(3/14)
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by wazawazapan | 2010-03-14 13:20 | パン考
レシピができるまで
料理というのは最もクリエイティブなことの一つだと思う。
短時間で複数のものを組み合わせて、全く想像だにしなかったものを作り上げたり、
茹でたり蒸したり焼いたりそんな簡単なことで、素材の味が七変化したり、
想像力をかきたてて作れば、それはそれは素晴らしい毎日の仕事となる。

本を読んだり、時々外食に行ったり、人と話したり、人にご馳走してもらったり・・・。
そんな日々の生活の端々が料理やパンのレシピを作る時、四方八方から集まって、
何というか暮らしのエッセンスと言うか、そんなのが一気に集約されてきて、
一つの鍋の中に放り込まれたりする。

パンのレシピも同じで、素材と向き合った時、今までの経験したこと全てが
ギュギューっと集まってきてボールの中に放り込まれる。
あの時食べた味、あの頃過ごした場所、たわいもないおしゃべり。
暮らしがインスピレーションとなり、そこに集約される。

わざわざのレシピはほとんど私の頭の中にあって記録されていないのだが、
(一時期データを取りまくった時代を経て今は書かなくなっている。
これじゃあ死んだら一代限りじゃん!という話になってレシピをちゃんと
記録しなきゃあと思っているが、なかなか時間がなくて整理できない、頭の中を・・・)

例えば、
やわらかくて、甘くて、ふんわりして、年配の方も食べられるパンが欲しいなぁ。
年配の方が食べる前提だからバター、砂糖で単純にやわらかくしたくない。
酒粕酵母を使い捏ねてやわらかくする、ふんわりは焼成温度低く焼きこまず
ハイジみたいな白いパンに、甘さはドライフルーツで補って=いよかん丸。
粉はもっちり感とふんわり感を併せもったのを中心で全粒粉で風味付け。
水分量は多くしてさらにもっちり感を出そう。
(意外にもいよかん丸は、予想よりずっと若い人が買い支えてくれる商品となった。)

そんな感じで考えてると勝手にほぼ配合が出来上がり、テストする。
この時点でほぼ商品イメージができているので配合だけでなく、
サイズや焼成温度まで決まってしまう。
頭の中でここまで具体的なビジョンができてるレシピの場合は、1,2回のテストで
大抵リリースできるのだが、お蔵入りというのも結構ある。
そういうのは結局明確なビジョンがない時で、作る前からだめかなぁと言う感じである。

だから私の場合、レシピを生み出そうとしてレシピを作ることがあまりないので
生みの苦しみというのも特になく、結構、行き当たりばったりのいい加減なやり方である。

( 以上 2009-10-01 23:11 に書きました)

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明日は東京に雑貨の仕入れです。
高速バスで一人で行くのは初めてだなぁ。
移動中の読書が楽しみで仕方ありません。
あっ一人で食べるごはんも!
時間があったらパン屋いっちゃおうかな~~。

では、また!
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by wazawazapan | 2010-02-01 08:31 | パン考
パンのことばかり考えている
パンのことばかり考えている。
寝ても覚めても、夢の中でもパンのことばかり考えている。

最近、青山のマルシェに行ったり、地元誌に掲載されてお客さんがたくさん来たり、
通販にガッと注文が入ったり、目の前のパンを焼くのに精一杯で、新しいことを試す時間がなかった。
少しずつ落ち着いてきた中で、考えていたのはやっぱりパンのことだった。

私には100個のパンでも、お客さんには1個のパンなんだなぁとしみじみ思って、
1つ1つを出来るだけ丁寧に作ってみたり、眠くて眠くてたまらないけど、生地の様子が
気になって、1時間おきに起きてたら、結局朝は寝過ごしたり・・・。
あっちいったり、こっちいったり、ホントに右往左往。

同じレシピを繰り返して焼くことで試してみたいことがたくさん頭に浮かんで、
蒸気焼成の小石を5倍くらいに増やしたり、ステンレスの棚板を重ねて下火を強くしたり、
これは両方ともかなり効果が出たのだが、余熱にものすごく時間がかかるようになってしまった・・。
不経済だが、もうこっちの方がいいとなるとやめられない。

同じことを繰り返すことで、繰り返す意味がわかってきたというか、
疑問がどんどん出てきてやりたいこと、調べたいことがいっ~ぱい。

自分のパンの特徴的なところが何故でてきてるのか、不思議でしょうがなくなってきて、
多分アレだろうなというあたりはついてるけど、それを理論的に考えてみたくてしょうがない。
感覚的なパン作りに、さらに理論を被せる事で、飛躍的に味が進化するのではと思えてきた。
たまにバカウマのパンをまぐれで焼いたりして、こんなの毎日焼けたらいいのにって。
先人の発見してくれたありがたい知識を惜しみなく拝借しようと思う。
久しぶりにアマゾンで製パンの本を買ってしまった。高い買い物だったが良書だといいなぁ。

パン作りは人に教わったこともないし、人の作っているところも見たことがないから、
本当は聞いたり見たりしたいという気持ちもあるけど、今はまだ自分で解決できそうな気がする。
もっと上に行ったらたぶん、無理かな。もう見せて~って言うと思う(笑)

正月休みは長めにとります。
その間、ちょっとパンのこと、じっくり考えてまとめていきたいと思います。


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追記:

パンの本が届いて読み始めた。序章から多くの素晴らしいことが綴られていて、
感動を抑えきれない。この本を読み終わった時、パンについてもっと深い知識を得、
必ず今後のパン焼きに役立つことを確信した。

BREAD

追記の追記:

コメントのお返事がなかなかできずスイマセン。
通販の発送が年内立て込んでしまい、なかなか時間がとれません。
あと一週間死ぬ気でがんばります。
皆さんのコメントとても楽しみにしております。その後、ゆっ~くりお返事書かせてください。
いつも読んでくださってありがとうございます。
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by wazawazapan | 2009-12-20 23:04 | パン考
艶のあるクラム
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昨日はパン屋をしながら雑誌の取材を一日受けた。
営業と通販と取材とでこんがらがるかなぁと心配だったのだが、
店が暇で助かった、イヤ、助かったのか?・・・。
この写真は、撮っているところを撮影するという1コマ、
パン作っているところとか写真撮ってるとことか、普段人に見られない部分を
見られている緊張感を味わう。記事が楽しみです。遠くから本当にありがとうございました!
(本の名前を失念してしまったので、発売日等がわかったらお知らせしますね^^)

お昼を食べながらライターさんとお話していた時、ひょんなことから他のパン屋の話になり、
自分がパンを焼き始めてパン屋を意識しだした時の話になった。
すっかり自分の頭の中から抜けていたのだが、「そう言えば・・・」と話し始めると、
当時の記憶が鮮明に頭に蘇ってきたのだった。

パン屋になると決めた数年前、他のパン屋の食べ歩きに「研修」と称して散在していたことがあった。
パンを習ったことのない私にとって、パン屋のパンを食べることは最大の勉強であり、
一口一口を食べながら、入っている材料を推察して作ったり、製法を推察して作ったり、
そういうのが楽しく楽しくて仕方がなかった。
おいしいパンがあると聞けば、週末にドライブがてら遊びに行き、観光とおいしい研修をしに
いくのが家族の楽しみとなった。

自画自賛タイプの我々のことだから、滅多に他のパン屋に負けないのだが、
当時一軒だけ、ウチより確実においしいパン屋があった。
何度も何度もそのパン屋に通い、パンを買い、薄切りにしたり、厚切りにしたり、
1週間くらい放置したり、ひっくり返して眺めたり、なんでこのパンはおいしいのだろうと
食べながらいつも話していた。

ウチのパンになくて、このパンにあるもの。それは「艶のあるクラム」だった。
カンパーニュをカットすると所々に大きな穴が空き、それが艶々と光っている。
この艶のところにくると、何ともいえない香りが封じ込められているような、
そして、口に含むと水分を含んだもっちりとした食感。これがおいしいんだ。
今でこそ流れでそういうパンをよく見かけるようになったが、4,5年前はそんなになかった。

それから、どうやったら艶のあるクラムができるのだろうと考えた。
水分を多く含んでいるからツヤツヤしているに違いないと、単純な私は自分のパンの水分量を
どんどん増やした。以前このブログで話したが、ママ友にパン屋のパンは2,3日すると
硬くなるのが嫌だと聞いたのもこの頃だった。この問題もこれで解決するに違いないと思った。

しかし、水分量を増やすと生地がベタつき、成型もロクにできない。
考えた末、冷蔵庫で生地を冷やしてから、成型することにした。
その頃は長時間低温発酵とか全く知らず、ベーカーズパーセントとかも知らず、
今思えば、ベーカーズパーセント100%とか120とか200くらいまでやって
型に詰めて焼いていたから、知らないことって素晴らしい(笑)

その後、何とか自力で何とか艶のあるクラムのパンを焼くことに成功し、
それがロデブだったのだが、その頃は水分量が非常に多いロデブというパンが
この世で数百年前から焼かれていることも露知らず、すげぇパンを作った!と
例の自画自賛をし、編み出した編み出したと浮かれていたのだった。

数日後、図書館で製パンの本を読んでいると、長時間低温発酵も、ロデブもしっかりと存在し、
パンの歴史の奥深さに感嘆と驚愕をし、チキショウ、もう普通にあるし・・・と
がっくりと肩を落としたことを覚えている。惨敗。

ロデブは今、店に出していない。アレを焼くとオーブンが占領されてしまい
パンを焼くスケジュールに組み込めないのだ。新しいオーブンが入ったら
超カッコいいロデブを焼きたいから、それまでに練習しておくことにする。
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by wazawazapan | 2009-12-13 21:02 | パン考
酵母再考2
酵母をルヴァン酵母一本にしてから、ウチのパンの味に変化が出てきた。
以前はルヴァン酵母と甘酒酵母(麹から甘酒をつくり酵母を起こした)を併用していたのだが、
今はルヴァン酵母を2種類に発展させ、白い粉メインで繋ぎ続けたルヴァンと、ライ麦ベースで繋ぐ
ルヴァンの2本立てでパンを焼いている。

長くなります
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by wazawazapan | 2009-09-20 02:44 | パン考