みんなの石窯
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遂にYUSHICAFEさんでのテスト窯が完成しました。
今日は、この石窯で生まれて初めて薪窯でのパンのテスト焼成をしてきました。
パン屋になってから夢を見ていた日が遂に来たのかもしれません。
この石窯作りは、私が小燃焼で出来るパン窯を作るために、島根のじいにロケットストーブの
構造を教えてもらいに行ったことから始まったプロジェクトです。

現在、世界中で作られているパンの薪の石窯の構造では薪の使用量がとても多いのです。
いずれは薪でパンを焼きたいと考えても、女性一人でパンを焼くには過酷であると
二の足を踏んでいました。燃料をかなり大量に使うので効率が悪く、
重労働の薪割りを頻繁に行わなければならないし、需要と供給のバランスが崩れ、
薪を購入するとなるとコストがかなり高くつき、無理が生じ、
持続可能ではないことが目に見えていました。
1人でできるパン屋をやろうと考えていた私には到底無理だと思っていたのです。

島根のじいの瓦のロケットストーブを見た時に、これだ!と思いました。
燃焼効率が非常によく使う薪量が少ないのです。
長くパン屋を続けていく為には、体に負担のない効率のよいやり方が必要不可欠です。
私はパン生地を手で捏ねて、なるべく自然に近い形で焼きたいと考えていますので、
労働力を極力少なく抑えながら、最高温度に達するまでの時間も短いロケットストーブは
非常に魅力的に感じました。これをパン窯に利用すれば燃焼効率のよい窯ができるのでは
ないかと考え、相談に伺ったのです。

YUSHICAFEのYUSHIさんにそのことを話すと、地元の山から切り出した石と
自家製の粘土で炭焼き窯を作った職人さんがいると紹介して頂きました。
早速、炭焼き窯を見学に行き、中野さんと出会い、お話することができました。

ロケットストーブの構造を組み込んだパン窯の概要をじいにアドバイスをもらい、
中野さんと何度も打ち合わせを重ね、パン窯の構造が出来上がりました。
炭焼き職人の経験、ロケットストーブの構造、パン屋の経験。
いいものができるんじゃないかという予感はありましたが、
全員が試したことのない未知の領域でもありました。
そして、YUSHIさんのご好意でYUSHICAFEの庭に、
テストの窯を作らせていただけることになりました。

今日は、その窯に潜んでいる問題点を探るため、テスト焼成を行なってきました。
これから何度もテスト焼成を行い、問題点を改善した窯を「わざわざ」に作ります。
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今日は一番最初のテストということで、ロケットストーブで150度くらいまで窯内の温度を上げてから、
中で直火を起こして天板を早めに温めました。300度近くまで窯の温度が上がったところで
一旦炭を取り出して焼成スタートです。
300度には2時間強ほどで到達しました。作ったばかりの石窯で乾燥途中の段階にもかかわらず、
この速度はかなり熱効率が良さそうだという印象です。
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発酵完了した生地を、取り板に載せ、さらに作りたてのスリップピールに載せます。
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パンをどんどん放り込みます。
今日はテストということで小型のカンパ(ご飯みたいなカンパと同じ大きさ)を5個焼成してみました。
温度の違いを見たいので、配置場所をずらして生地を置いてます。
さらに窯内に他の石を入れておき、その上にもパン生地をのせ、
石の種類で下火の具合はどう違うのかもテストしています。
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5分経過した後、一度蓋を開けて中を確認しました。
一応、窯伸びが認められて一安心というところです。
しかし、窯が何しろデカイのでこんなに窯内はスカスカです。
本番はこのサイズ30個分のパン生地を一気に焼く予定です。
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窯入れから25分経過しました。何度か蓋を取ってパンの位置をずらしていきました。
先日作ったスリップピールの改善点もこの時判明しました。
パンを滑り込ませるピールと取り出すピールは別の形がよいです。
やってみてわかりました。よかったです。
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パンの焼成率は手で持てばわかるので、一つずつ取り出して手に持って、
重さをみて焼けているかどうか判断します。とりあえず全部焼けました。
下火のわりに上火が弱く焼き色が非常に薄いです。まぁ初めてなのでこんなもんでしょう。
それから窯内を掃除するモップを用意するのを忘れてしまい、パンが灰だらけです。
さすが、詰めの甘さは超一流のわざわざさんです。
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早速カットして試食します。
底のクラストはかなり香ばしく石窯ならではの食感です。
生地はテスト用に管理しやすいようにドライイースト中時間発酵で適当に作りました。
まぁ、その割にはクラムに気泡が入り、瑞々しい食感です。
まぁ、初めてなのでこんなもんでしょうね。笑。
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いつの間にかギャラリーがたくさん。焼きたてのパンを皆で頬張りました。
おじさん達の評判は上々です。嬉しかったです。

初めて石窯でパンを焼いて、食べられるレベルのパンが焼けたことには満足しました。
パン屋として数年1人で試行錯誤してきたことが、身についていることが嬉しかったです。
このデカイ石窯を目前にしても、いつもどおり冷静に焼くことができました。

ですが、このパンは全く売り物にはなりません。
今、ガスオーブンで焼いてるパンの方が断然うまく焼けてます。
ですが、今のパン、一瞬で追いぬけるポテンシャル感じました。
ここからスタートという感じがしてます。
来週はこの窯でさらに高度な焼成を目指してトライしてきます。
今回でかなり自信を得ることができました。問題点が目に見えたことで対策を練りやすく
なりました。窯の改善点をこの数週間で洗い出して、本番の窯に活かしていきます。

まずは上火を強くすること、そのために窯内の高さを変更することを視野に入れる。
スチーム量が圧倒的に少なかったこと。1L入れましたが一瞬で消え去りました。
恐るべし石窯の蓄熱量!灰を円滑に掃除できるシステムを考えること。
スリップピールを改善すること。ロケットストーブのみで最高温に到達させること。

以上を次回心がけて焼成してきます。今度もドライイーストで。
石窯の特性を掌握してから自家製酵母の難しい生地でトライします。

でも、ほんと、一区切り。安心しました。それもこれも皆さんのお陰です。
みんなの窯、みんなの窯だなぁ。そんな気持ちです。
見守ってくれたおじさん達も皆、自分達の窯の気持ちでした。
俺が昨日窯に火を入れた、俺が蓋を作った、俺が工事を見届けた、
一人一人が愛着を持って窯を囲む最高の状態だったと思います。
誰がかけても出来なかった。つくづくそう思います。
感謝です、がんばります。
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by wazawazapan | 2011-10-27 08:00 | わざわざのお店物語


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