東京散歩1
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(電車で向かいに座ったおじさんの磨かれた靴のきれいなこと!自分の足元を見つめて・・・反省です)

ただいま!昨晩、長野に戻りました。
池波さんの文庫を片手に東京をブラブラすると言っても、
夫の実家にお世話になりながら、なんだかんだの仕事周りです。
初日は娘をばーばとじーじに預けて、夫と二人で電車で行きます。
途中でバイバイと別れ、私は仕事、夫はお出かけ。
携帯はもうやめてしまったので、お互い単独行動なわけですが、
帰りの電車が偶然一緒になってビックリです。
ホームで「おっ、お前さんもかい」みたいな。(只今鬼平中のため、時々江戸弁です)
全く似たもの夫婦ですなぁ。。

土曜日にお店を休んで向かった先はモバックショー
モバックショーは年に日本各地で行われる製パン製菓の業務ショーで、
今年の店舗改装に向けて業務用機器のチェックに行ったのでした。

目当てはともかくオーブンで、平釜のデッキオーブンを主体に見て回ります。
ベルトコンベアーでお菓子やパンが出てくる機械から家庭用に開発されたもの、
パン菓子の材料まで製パン製菓にまつわる様々なものが展示されますが、
私はこういった展示会でセンサーがついていて、ほとんど見ないんです。
よくビックサイトで行われる様々なショーにも行きますが、ほとんど見ません。
競歩みたいな速度で歩いて、直感で興味の沸いた数個のブースに立ち寄るのみで、
2000店出展されても名刺交換までするのは毎回2、3店未満です。
そのうち実際取引を始めるのが1店あるかないかで本当に自分は心が狭いと思います。
でも、毎回一軒見つかったらめっけもんの気持ちでいつも向かってみます。
全神経を集中して歩くので毎回死にそうになりますが、やっぱり見ておかないとみたいな
気持ちで行ってますが、もうそろそろいいかなぁと思い始めています。

数件のオーブンメーカーと話をして、少々ガッカリしました。
つまらないの一言です。メーカーの営業さんの知識が乏しく、こっちが小さい女の子のような
新米パン屋ですので、私が製パン用語連発でオーブンの性能についての質問をすると
詳しいですねぇ~と意外そうな顔をします。それで私の非常にマニアックな質問に
営業のおじさんは答えられず微妙な空気が流れる始末です。
テメエ、顔洗って出直してこいっ、そんなんで何百万の機械売ってんじゃねぇと思いますが、
笑顔で口をつぐんでガックリしながら歩くのです。
結局は人なんですね、人。きちんとした知識を持った説明が購買に繋がるわけですね。
自分のところの商品愛してなきゃあ、何にも伝わりません。
それで、自分もお店の商品を全て把握していなければとフンドシを締め直したわけです。

すると、一軒の非常にコンパクトなブースに出会いました。装丁も非常にシンプルで
一見何を販売しているのかよくわかりません。ですが、私の鼻が感づいたのです。
その奥に見える石釜のような不思議な形のオーブンは何ですか?ってことです。
それをこちらでは販売していますか?と聞きました。

ドーム状のオーブンはやはり石釜オーブンでした。しかも燃料がガスです。
私は今まで非常に石釜でしかも薪釜に憧れていたのはこのブログでも散々こぼしていました。
薪で炊く石釜オーブンに思いを抱いておりました。ですが、何故それをやらないのかと言うと、
薪を用意して自分で炊き付けて焼いてパンを売るという作業はとても一人で出来る作業では
ないのです。物理的にどうしても無理が生じてしまうため、自分に見合った労働をするには、
薪釜は無謀だと思い知っていました。

それでも、薪釜はいつかやろうと思っていましたが、陶芸家の角りわ子さんとルーシーリーに
ついて話し合っていた時、ハッとしたのです。ルーシーリーが何故電気釜で焼いていたのか。
女性一人でできること。これをやりたいと角さんがおっしゃっていた時、
自分にも当てはまることに気づきました。理想を目指して無理をするよりも
今出来る精一杯のことをしようと思い改めました。

そして、薪釜を現実的な目的にすることよりも、理想として夢として遊びとしてやろう
と思いました。だから、ガスで石釜をやりたいと切に願いました。
熱源がガスであれば薪を集めて割って焚きつけをしなくてよいため負担が少なく、
ガスの石床のオーブンをやろうと思ったのです。
とりあえずテストで今のオーブンに石床を作ってカスタマイズして
やろうと思っていた矢先のことです。

目の前にガスが熱源の石釜を見たんです、そのショーで。大興奮です。
営業の担当の方を質問攻めにし、あげくに職人さんにも質問しまくりの大興奮に間違いありません。

いいですか、世の中には石釜オーブンが五万とあります。
熱源が電気でもガスでも薪でも、パンを焼く床が石ならば全てが石釜オーブンと名乗っています。
つまりは世の中のデッキオーブンは石床であれば、ほとんど石釜となるのです。
ですが、その石釜オーブンは、皆さんが石釜オーブンと聞いて想像する薪を炊いて
パンを焼くオーブンとは構造がかけ離れているのです。

薪釜のほとんどは耐熱煉瓦を積み重ねて釜部分を作りますので、石が数十センチ以上の厚みが
あります。レンガを思い浮かべてください、あれより厚みがある石で覆われています。
石床のオーブンは1cm前後の石を電気やガスで温めただけで石釜オーブンと名乗ります。
ぜんぜん違います。私のガッカリ感はそこです。石釜(薪釜)じゃないんですね、構造が。
構造が石釜と一緒だったら熱源が何でもいいから使ってみたいと思っていましたが、
薪釜と全く構造が違うオーブンを石釜と名乗っているのですからガッカリ千番です。

薪釜の石釜を私が欲しがる理由は類稀なる蓄熱性と保温性です。
この石釜は一度火を入れて限界まで温度を上げたら、火を落として余熱でパンを焼成していきます。
そして遠赤外線効果でパンの中心部からも火が通されるので、非常に焼成時間が短く
焼き時間がコンパクトになります。ただ微妙な温度調整が出来ないため、
かなり感と熟練の技が必要となります。それが面白そうでタマリマセン。

そしたら目の前にガスが熱源の薪釜と構造が一緒の石釜があったので、
本当にびっくりしたというわけです。あ~びっくりした。
1年前から販売が始まったそうです、どうりで知らないわけだ。

営業の方と職人さんとお話させて頂くと、なんとその職人さんはうちに
パンを買いに来てくださったことがあると聞いてさらに大興奮です。
名刺を渡すと僕行ったことありますよ!えぇ!本当ですか!
うちのブースに来てくださって光栄です、こちらこそ光栄です!
忙しい中たくさんお話させてもらいとても嬉しかったです。
私は一人でパンを焼いているため、同業者さんとパンの話をしたこともありません。
製パン知識のあるプロの方とパンの話をしたのは初めてのことでした。
そんなん楽しすぎました。できれば酒を酌み交わしながら話をしてみたいと妄想しました。
グルテンを形成する際にアミラーゼが…乾杯!みたいな。あぁ楽しかった。ありがとうございます。

とりあえずもう一度釜を見せていただくことの約束をしてきましたが、
私、じぇえええったい、これが欲しいです。またテストしに行ったら報告します。
えっ?前に買った釜ですか?…どうにかなるっしょ!(←もんのすごいいい加減)

それから~バーゲンブックで面白そうな本を数冊購入してきました。
製パンの専門書です。パンのコツの科学じゃあもう全然足りないので
全くわからない部分が網羅されていそうな本を購入しました。
食品工学の分野らしいですが、かなり面白そうです。
結局、理論がきちんとわかれば応用できるわけですから基本が大事です。
職人としての感を磨きながら、パン屋程度の科学の知識は持っていたいものです。

東京散歩2へ続きます。
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(帰ってきて一番にやったこと、掃除より何より靴を磨く。だって道が舗装されてないんだよ←言い訳)

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by wazawazapan | 2011-02-22 10:32 | パン屋の休日


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