油の話2
先日、菜種油についてご質問がありましたので、今日は少し油の話を書いてみたいと思います。
長くなりますので、皆様、覚悟をお願いいたします。頑張って読んでくれたらとても嬉しいです。
そして、ここに書きつけることは、手元に資料がなく、私の記憶の範囲内で書きますので、
記述に間違いがある可能性があります。
皆様の判断でそれぞれの油とお付き合いいただけますようお願いいたします。

Q:菜種油は、加熱に不向きであると何かで見たことがあります。
  成分に含まれるエルシン酸というのがあまり良いものではないという記事でした。
  今は、いろんな情報がありすぎてふるいにかけて見極めるのが難しいです・・・

A:菜種油に含まれるエルシン酸という成分は、在来種の菜種に多く含まれるもので、
  エルシン酸の多量摂取は心臓障害を引き起こすとされてきました。
  現在はエルシン酸が含まれない種子が開発され、多くの栽培に役立てられています。

  うちで取り扱っている菜の花油は、「キザキノナタネ」というエルシン酸を
  含まない品種改良された種子から栽培していますので、この問題はクリアしています。

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上記質問で私が一番興味を感じたことは、「いろんな情報がありすぎて
ふるいにかけて見極めるのが難しいです」というメッセージです。

世の中には様々な分野で様々な研究がなされ、日々新しい情報が飛び交っています。
その中で人々は自分にフィットした情報を取り入れて生きていくのですが、
その感覚は様々で十人十色です。

この質問を頂いてエルシン酸の問題を初めて知り調べてみたのですが、
本当にたくさんのサイトがこの問題を解いていました。

私は一時期、油に関して非常に神経質になったことがありました。
今ブログの記事の一つで「健康のこと」を書いている最中ですので、
その経緯はいずれ読んで頂くとして、その神経質な時期に油に関してかなり
調べて本を読みました。今から私の知っている限り、油についてお話します。

皆さんがいつも食べている油には大きく分けて2種類の油があります。
飽和脂肪酸が多く含まれるものと不飽和脂肪酸が多く含まれるものです。
こう言うと非常に難しく感じるかもしれませんが、話は至ってシンプルです。
固まってる油か液体の油かの2種類です。
固まってる=飽和脂肪酸が多く含まれる、液体=不飽和脂肪酸が多く含まれる、です。

固まってる油というのはラード、バター、マーガリン、ショートニングなどです。
液体の油というのは、ごま油、サラダ油、オリーブオイル、菜種油、えごま油などです。

上記の2種類は固まっている固まってないという違いの他、大きく違う点があります。
お気づきでしょうか?動物性か、植物性かです。
固まってる油(飽和脂肪酸多し)は動物性が主体で、液体(不飽和脂肪酸)は植物性が主体です。

飽和脂肪酸が多く含まれる油をさらに分類すると、人工的に作られた油と自然の動物性の油の
2種類があります。バターやラードはご存知のように動物の恵みを頂いて作られた油です。
マーガリンは戦時中にバターが不足したため、バターのようなものを大量に作るため、
バターの分子構造に水素を添加して大量にバターの模造品を作ったのが始まりです。
近年、そうやって人工的に作った分子構造のトランス脂肪酸が健康を害するという問題が
表面化し、現在NYでは全ての飲食店でトランス脂肪酸を含むマーガリンやショートニング
の使用を禁止しています。この動きはどんどん世界中に広がっています。

また、飽和脂肪酸が含まれる油の摂取過剰は、動脈硬化や心臓疾患を起こしやすいとも
言われています。バターなどの油は普段は固体で、熱をかけると溶け出します。
その融点が低いという特性が血中のコレステロール値を上げ、体内にたまりやすい
という欠点を持っています。摂取して分解されるスピードよりも多い油を摂取すれば、
上記のような病気を引き起こす可能性が多々出てくることを想像するのは容易なことでしょう。
人間の体の不調は、食べた食物と密接に関わっています。

こうやって書くと、多くの人が不飽和脂肪酸が体にいいのね!となることでしょうが、
そうでもありません。液体の油は空気に触れる面積が圧倒的に多いので、不飽和脂肪酸より
酸化しやすく、早い時間で劣化していきます。酸化した油には活性酸素が多く含まれ、
癌や生活習慣病を引き起こす原因であるとも言われています。

また、多くの液体油は絞る際に薬品を添加して油を分離させています。
絞るという古来のやり方をすると、時間も労力もかかりますし無駄がでます。
安く販売するためにはコストはかけられませんから、そういうことをやります。

ここまでくると、油そのものの存在が悪になってきて、食べることを拒む人が出てきます。
しかし、油は体に必要です。冬場に水仕事が重なると乾燥で手が酷いことになって、
慌ててクリームを塗りますね。体に油分が足りないと色々不都合が起こります。
唇が常に乾燥でむけてくる時は、最近の食生活を振り返り、
水分や油分が足りているか考えて補給すればよいのです。
便通が悪くなっているのであれば、食物繊維を多く含んだものを食べることを心がけます。
常に体の声に耳を傾けていれば、難しいことではありません。
今日の不調は昨日の不摂生を疑ってみることから始めます。

油が体によいという情報も多々あります。
オリーブオイルが糖尿病にいいとか消化吸収がよくなるとか、肌にいいとか、
菜種油はバターよりカロリーが低いからお菓子に使うとダイエットにいいとか、
バターはおいしいとか…上げればキリがありません。

物事には2つの側面が必ずあります。黒と白、良いと悪い、陰と陽。
良い面があれば、必ず悪い面もあるのです。完成されたものなどどこにもありません。
一つの側面だけをライトアップして、これは何に効くとかこれが体に悪いなんてことは
ナンセンスです。全く無意味なことなのです。
物事を決定する事項は必ずいくつもあり、全てが生じて総合的に結論が出ます。
一つだけが悪く、一つだけがよいという事は起こり得ないのです。
1つの悪を排除しようとすると、必ず無理が生じ、どこかに亀裂が走ります。
要はバランス感覚です。

大事なことは、細かいことを知りながらそこに集中せず、
物事を俯瞰で大きく見ることです。そのためにもまず知ることが必要です。
私はこのブログを通して自分の知っていることや大事なことに、
腰が抜けるくらいくだらないことを織り交ぜながら、
自分の知る限りの色んなことを書いていきたいと思っています。

へぇーほぅーと思いながらこういう堅い話も読んで頂けると幸いです。
そして、何気なく読んで得たこういった情報が暮しのエッセンスとなり、
皆さんの生活に潤いを与えることができたならば、本望です。

様々なことに興味を持つ人が集まり、広く浅く知識を得ることができるような
ブログを心がけ、発信していきたいと思っています。

いつものように脱線しましたが、
うちはそんなこんなで一つのルールを決めてます。
「質のいい材料からきちんと作られた油を適量取る。」それだけです。
近くの農家さんが頑張って作った菜種を圧搾式で絞った油を食べたり、
四つ葉の発酵バターが好きなので、毎日パンに塗って食べてます。
時々パスタにする時は惜しげもなくオーガニックのオリーブオイルを使います。
お金がない時は油は食べません、高いから。
そんくらいのもんです。

<選び方のヒント>

スーパーで油の原材料を見てみましょう。
横に書いてある低脂肪とかヘルシーなんて言葉はスルーして下さい。
「食用精製加工油脂、乳化剤、酸化防止剤(ビタミンE)」こんなの論外です。
本物の油は「菜種」とか「オリーブ」とか「生乳」とか私達の想像の範囲内のモノ
しか書いてありません。自分の想像力の範囲内でわかるもの買いましょう。

これは体に良いと聞いた、悪いと聞いた、これが入っているからいけないという情報は、
まず全て捨てましょう。知っているものだけで作られたものを、買えばよいのです。
そういったものは、身近にあるものでお母さんが子供のために作った、
手作りの食品と同じです。おばあちゃんが仕込んだ味噌や醤油と同じです。
誰かがあなたを思って心を込めて作ったものです。

これは調味料全般、食品全般に言えることです。
味噌の原材料は「大豆、塩、麹」とかですね、醤油も「大豆、塩、小麦」なんていうのは
想像できますね。「脱脂加工大豆、醸造アルコール、調味料」なんてのはよくわからないですね。
わかるもので作っているものは安心ですね。

もう一つおせっかいを。
値段が高い=質がいいものではありません。高価なものにもいい加減なものは存在します。
きちんと裏をひっくり返してみることで避けられますので、値段を目安にするのは
やめましょう。

かなり話がそれましたが、皆さんも食品のお化けに注意を払いつつ、
時には脱線した自分を許しながら、のんびり気楽に生きましょうね!
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by wazawazapan | 2011-02-08 10:50 | パン屋のたわいもない話


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