時計はもう14時を指そうとしているのに、その日は何故か全く食欲がなかった。
交差点を後2回曲がればお店に着くというところだったが、迷いに迷った挙句、 曲がるのをやめてしまったのだった。真っ直ぐ道なりに車を走らせながら考えていると、 決まりきったルーティンを自分から崩すモヤモヤに頭が支配されてしまい、 踵を返していつもの店に向かったのだった。 刀屋に着くと、適当に相席して、コートを脱ぎながら「かけ一つ」と言う。 おばちゃんが「ハイ」と言う。手を洗ってカバンから読みかけの本を取り出して、 2ページもいくと、コトリと目の前にかけそばがくるのだ。素晴らしく早い。 テレビでは、多分12時台の朝の連続テレビ小説からの流れなのだろう。 チャンネルがNHKに合わさったまま惰性で国会中継が流れている。 このそば屋の中の誰が国会中継を楽しみにしているというのだと、 頭の中で考えながら厨房に目線を移すと、おばちゃん達は、注文のそばを全て出し終えた リラックス感いっぱいで、歯に野沢菜が詰まったから取ろうとしたら 金属が取れちゃったで、まぁ大変という話。 クックックと肩で笑ってしまうのを堪えながら、そばをズルズルと流し込むのだ。 横のおじさんが「大盛り一つ」「1kgありますが大丈夫ですか?」「多分大丈夫」 そんな会話を聞きながら、また啜る。その内、1kgの蕎麦が運ばれてきて、 店内の観光客がどよめく。常連は見向きもしない。 そんなこんなで丼いっぱいの蕎麦も残りわずか。 それで、あぁ、やっぱり寄ってよかったなぁと思う。 おいしかった、ご馳走さま。 長野に引っ越してきてから蕎麦屋を散々食べ歩く。 やれ、ここが旨いだの何だの散々やった挙句に、結局、普段着のそばが好きになった。 別にそばを高尚な食べ物に持っていかなくていい。600円くらいで具も何にもいらないから ズルズルっと食べさせてくれればいいと、上田の刀屋とか東御の草笛でよくなってしまった。 食べ終わった後、あぁおいしかった、それでいい。気取りも何にもない。 ここ3年くらいは夏でも冬でも「かけ」ばかり食べている。 「もり」と「かけ」のサイクルがあって、長野に来て5年くらいは「もり」しか 食べなかったけど、今は「かけ」を3年。 ちなみに「ざる」はもりに海苔がかかっている。海苔で50円プラスだから贅沢品だ。 あと2年でもりに戻るのかはわからないが、ざるを頼むことはないと断言できるのだ。 私には1ヶ月に1回とっておきの日があって、その日は一人で上田に行く。 去年、松本クラフトフェアに出店した後に、どうしても疲れが抜けなくて 疲労困憊のまま営業を続けていた時に、東洋医学を取り入れたマッサージ店を 開いている方がお店にパンを買いに来た。彼女がそんな店をやっていると 名刺を置いていってくれた数時間後に予約を取って、それから気に入って 月1回通うこと早10ヶ月。毎月このルーティンを楽しみにしているのだ。 11時に彼女の店に到着し、施術を受けて店を出るのは13時過ぎ。 マッサージ+蕎麦は絶対必須のアイテムで、それに何かを時々くっ付ける。 飯島商店で三宝柑ゼリーを買って帰ったり、ジャスコで本を立ち読みしたり、 真田屋で染付けの器を散々吟味したり、時々ルヴァンでパンを買ったり。 そうやって遊んで帰ってくると大体15時くらいに家に着いて、 ちょろっと仕事をしてからお迎えというのが決まりきったルーティンというわけである。 ※彼女の店 興味のある方は店頭でお聞きください。ご紹介いたします。 とても素晴らしい店ですので是非。
by wazawazapan
| 2011-02-02 09:42
| パン屋のたわいもない話
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