角食ラプソディー
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(角食は夜焼きあがる)

パン屋を始めてから角食に対する気持ちというのをブログにも多々書いてきたので、
以前から読んでくれている方は私の角食に対する気持ちをよくご存知だと思う。
特に2009年あたりは作りたいパンと売れるパンのギャップに悩んで、
気温の変化に自分のパン作りがついていけなかったことと平行して、
食パンが全然うまく作れなくなって、一時期販売を取りやめたこともあった。

気持ちに変化が起こってきたのが1年前くらい。
それで、また作り方を試行錯誤してここ半年くらいでようやく角食と仲直りしつつある。
紆余曲折を経て、角食が自分の中できちんと作れるようになってきた。
今は心底愛してるし、胸張って売れる。これからもラインナップからは消さない。(と思う)
日本人のソウルフードなんだよ、角食は。

<角食、紆余曲折、過去ログ>

2009-06-16 売れるパンと売れないパンの話 2
(角食が売れまくって他のパンが全然売れなくなって嫌になる)
2009-06-22 夏のパン焼きと捏ね上げ温度
(暑い夏で角食の捏ね上げ温度の調整がうまくできなくなり投げ出した←現在解決済み)
2009-10-21 国産小麦の値上がりとキタノカオリ終了・・・ガクッ・・・。
(角食に使っていた粉が販売終了となり、万策尽きる)
2010-01-16  その後の角食
(新しい角食が安定して焼けるようになってきた)
2010-03-05 誰が何を買ってもいいとやっと思えるようになった。
(角食に対する気持ちが変化してきた時期)

一時期、うまく焼けたり焼けなくなったりしたスランプを脱したのは、
捏ね上げ温度の調整をうまく出来るようになったからだった。
何ヶ月か徹底的に気温と水温、生地温度を計測して、焼き具合を書き留める。
この地味な作業をやってから、気温何度の時は水温を何度にするという
大まかな指針が出来たため、季節を通してほぼ毎回同じように生地作りを
することができるようになった。

だが、実はその後、新たな問題にぶち当たることになる。
それは「穴」だ。市販の食パンにはないうちの角食にできる穴。
こいつを何とかしたいと試行錯誤が始まった。
一番最初に変えたのは成形。まずは生地に無理をさせないこと。
成形を変えてからかなり穴が少なくなる。
でもまだ出来る時がある。この穴の正体は何だ???

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角食をカットして見ると、この位置に穴があくことが多いことに気づく。
これは2次発酵の具合を変更することで解決するだろうとすぐにわかった。
早速いつもより遅めにし、型の9分目まで生地が上がるのを待ち、
窯入れすると予想通り、穴は消えた。

よしっ!

と思っていたのは、つかの間。
お客様に角食の皮の感じが変わったけどレシピ変えた?と聞かれる。
変えてないから何故だろう?と首をかしげる。
その頃、夏場で厨房の気温がかなり上昇してしまい、角食の2次発酵を冷蔵庫で
取ることが多くなっていたので、冷蔵庫から出した後に室温にちゃんと戻らないまま
焼いたからではないかと推察し、その点にかなり気を配って作っていたのだった。

少しづつ、角食を買う人が減ってきた。
カンパーニュ類の売れ行きは少しづつ増えていて、開店して時間が経ち、
自分の店にフィットするお客さんが増えてきたんだと感じていた。
お客さんが購入するものが、角食からカンパーニュへの移行することは
私にとって喜ぶべきことであったため、そして「穴」も消えていたので、
よしとしていたのあった。

そして、遂にあの角食時代の終焉が来た。
売れ残り知らずだった角食が遂に余る日が訪れた。
久々に食べる角食の味、旨いに決まってる、と思って口に運んで愕然とした。
違うし!全然、うちの角食じゃないし!何だコレ!コンナモノ売ってたのか!このバカパンヤガ!
味は変わってない、でも皮が違う。それで思い出した、あのお客さんの言葉。
「レシピ変えた?レシピ変えた?レシピ変えた…」頭の中で木霊する声…

変えました!私!
そういえば2次発酵の見極め方変えました。
そうか、アレか、あの穴対策か。

穴を作ろうとして2次発酵を長く取るとギリギリのラインまで待つ。
窯入れすると生地は急激に釜伸びして、パン型の蓋にあたる。
この「あたる時間」が長くなったのだ。
パン生地は型にあたるとその部分から熱伝導してよく焼ける。そのまま窯に放り込むより、
型に入れて焼いた方が皮が厚くなりキチッと形づいて焼けるのだ。

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私の角食は微量イースト長時間発酵で焼いているため、釜伸びが普通の食パンほどしない。
だから通常型の7分目まで待って窯入れするところを8.5分目で入れていた。
それを穴を埋めるためにさらに待って9分目で入れる。これがいけなかった。
結果よく焼かれたしまった角食の上部が硬くなり、食感が悪くなった。
で、元に戻した。「穴」は時々あく。だけどこっちの方が旨い。

そんなことに気づいたのが半年以上前の話かな。
今は一番自分のレシピの中で安定して焼けるパンじゃないかな。
これはもうあんまりいじらない。…多分、多分ね(笑)

副材料がたくさん入ったプレーンパンというは如何なものなのか、という葛藤は今はない。
うちのパンは粉・塩・酵母・水でほとんどが作られている。
食パンはそれには属さないけれど、徹底的に選んだ材料で心を込めて焼いている。
牧場の絞りたての牛乳、発酵バター、洗双糖、ゲランドの塩、
みんなの求めているものを、きちんと作られたおいしい材料できちんと作る。
今はこれのどこを恥ずかしがるんだと思っている。おいしいよね、角食。
(とは言ってもウチはやはりほとんど食べない、残らないから、ねっ!)

あと、多分自分の姿勢が軟化してきたのは、ハード系のカンパ、バケットなんかも
食事パンとして認知されて、角食と同じくらい売れるようになったことが大きい。
リピートしてくれているお客様はほとんどの方が日常使いのプレーンなパンを買いに来てくださる。
本当にいつもありがとうございます。

あぁ、そうだった、塩は多分もう少ししたら変える。
変えるじゃん、私。さっきいじらないって言ったのに~。
以前も話したけれどいつか塩の話も書きます。

こうやって一つずつ今あるパンをおいしくしていく作業を中心に今年はやりたいです。

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コメントありがとうございます。新記事ができたのでアップします。
コメントのお返事遅くなって申し訳ないです。いつも楽しく読んでいます。
営業終了後にまとめてお返事いたします^^
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by wazawazapan | 2011-01-21 08:08 | パン考


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