にんにくとオリーブオイルと赤唐辛子のパスタ=ペペロンチーノを俗に"絶望のパスタ"と言う。
具が何にも入っていなくて、貧乏でも作れるからとか、 出てきた時に絶望するくらいのビジュアルだとか、 料理人を絶望させるくらい金が取れない料理だとか、諸説がいくつもあるのだが、 もしかしたら、私はさながら"絶望のパン"を作っているのかもしれないと、 一人でパンを焼きながらクククと笑ってしまった。 この間、お客様に「ヴィーガンなんですが食べられるものはありますか?」と聞かれた時に、 (注:ヴィーガン=動物性の食物を一切取らない人、はちみつや卵、乳製品も食べない) これとこれ以外は全て食べられますと答えたら、お客様が非常に驚いて嬉しそうで、 私も嬉しくなった。アレルギーのある人やベジタリアンのためにパンを焼いているわけでは ないのだけれど、図らずもそういった方のお役に立てる場面があったりして、とても嬉しい。 私が焼くパンの7割は塩・粉・酵母の三点セットから成り立っていて、砂糖も油分も入らない。 何故かと時々聞かれるのだが、単純にそういうパンが一番好きだから。 そこそこ噛みごたえがあって、食事によく合い、ご飯としてパンを食べる、そういうのが好き。 何にも入ってなくて旨けりゃ、何にも入れる必要ないんじゃんって思ってる。 ごはんに何にも入れないのと一緒で、別に特に拘りもない。 ああじゃないといけないもないし、入っちゃいけないもないし、 ただ好きなんだよなぁ、そういうパンが。 少しだけ拘りがあるとすれば、最良であろう材料=おいしいのを吟味して使い、 それでものすごーくシンプルな肯定でシンプルに焼きあげること。 そういうやり方を模索しながら、今はこんな風なパンを作っている。 そういうのを作るのに意義を感じるし、そこに少しだけ誇りも持ってる。 で、最低限の材料で作るパンはもしかしたら絶望のパンかもしれないと思う。 ペペロンチーノみたいだ。 それで、そんなパンばっかり置いてあるパン屋は絶望のパン屋だ、と思う。 お客さんがショーウインドウを覗いた時に、茶色い地味なパンばっかりで絶望するから、 という理由ではないことを切に願って。 (あっ、金土しか開いてなくて、行ったら閉まってて絶望のパン屋のケースが…、 ほんとスイマセン。かなりのケース・バイ・絶望を味わえるパン屋です。本当にゴメンナサイっ。) P.S 土曜日の松本でのKO・MO・RE・BI・YO・RIでパンを買ってくださった方ありがとうございました。 週末の営業が慌しく直前に告知できなかったのですが、たくさんの方が買ってくださったと お聞きしました。心より感謝しております。ありがとうございました!
by wazawazapan
| 2010-11-15 12:02
| パン屋考
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