クランベリーについて語ろう。
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思えば20そこそこの頃です。
生まれは東京、育ちは静岡のド田舎の私が、上京しうまいパンに出会う話です。

高校生の頃、好きなパンはヤマザキのフランスパン、
パンを買うときは、断固フランスパンだったわけですから、
筋金入りのハード系好きと言えるでしょう。町に唯一のパン屋には、
カレーパンやあんぱん、菓子パンがほとんどで、高校の購買も菓子パンオンリー。
柔らかいパンにソーセージだと!とんでもない、持ってけえれ!ということで、
コンビニにヤマザキのソフトフランスを買いに行くというわけです。

そんなパンライフを送っていた私が上京して受けた衝撃は計り知れないものでした。
だって駅の構内にパン屋が1軒ずつ入っているのですから。
町1から駅1へ、じゃあ町には、いえ、街には何件のパン屋があるんだと言う話です。
これは凄いことです。

東京で一番最初にバイトをしたレストランでは、毎朝電車に乗って隣の駅のパン屋に
バゲットを取りに行きました。白いシャツに黒いエプロンをして紙袋にバゲットが
ザクザクです。もうこのシチュエーションは何なんだ、一体全体ここはどこなんだ?と
東京がまるでパリのように思えたわけです(行ったことないですけど)。

パン屋に入れば、夢に見た硬いパンのオンパレード、どれを選んだとしても生きてきた中で
一番うまいというわけです。バイト代を溜めて時々、とっておきの固いパンを探しに
行くわけですが、あっさりそれは見つかりました。

グーより少し大きいくらいのゴツゴツした塊の所々に胡桃が見え隠れしています。
そして時々赤い実が、それがクランベリーのパンとの出会いでした。
皮がとっても香ばしくって、クランベリーの酸味・甘みと、胡桃のアクセントがタマリマセン。
多分270、280円くらいだったと思いますが、ビンボー学生の私にはとてつもなく高価なパンです。
1週間に一回だけと大体決めて買いに行くことにしました。

ですが、そのパンは純レギュラーパンだったのですね、焼いてない日と焼いてる日があるんです。
ないと本当に脱力してがっかりもいいところです。その反動であった時に2、3個買ったりして、
嬉しくてたまらなくて、友達にあげちゃったりして、いいのいいの全部取っていてみたいな、
後で買うからって言って、また会えなくて、どんよりしちゃったりして。
そんな生活が1年もしたところでしょうか。店でぱったり出会えなくなって、
もう作らないと言われた時に、今までの愛情が全て裏返って憎悪です、もう。
パンへの情熱がすっかり失せてしまった21歳のことでした。

パン屋になってあのパンを作ろうと作ったのがライ麦クランベリーでした。
あのパンは私の思い出のパンだったわけですが、今期製造をやめました。
パン屋になってわかったんですが、クランベリーのパン、売れないんですね。
毎回毎回余るわけですが、上記のような思い入れがあり、外せない商品でした。
しかもめっちゃ美味しかったですから(本人談)。

でも売れない、何でだろうと考えた末、やっぱり値段だと思いました。
オーガニックのクランベリーの原価はめちゃくちゃ高いです。胡桃もまあまあ高いので、
その2つをコンビにしてライ麦に混ぜたらもう最高に高い値段設定になっちゃいます。
(ちなみにライ麦クランベリー280円でした)

粉の中で一番高いライ麦を外して何とか値下げして作ったのが、上の写真の
クランベリーとカシューナッツのパン(240円)です。昨日から新顔で出しました。

これがねぇ、めちゃめちゃうまいのですよ(本人談)。

なのに、なのに、昨日も今日もやっぱり売れない、あんまり出ないですね…
あれっ??値段じゃなくて??

ク、クランベリー!!!
さ、さては、お、おぬしだったのか…、ガクッ…。

(来週からもしつこく出していきますので、どうぞ、お家に連れて帰ってくださいませ)
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by wazawazapan | 2010-09-04 17:45 | その他パン


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