おいしい器 2
「パンと雑貨の店なのですが、貴社の商品orあなたの作品をどうしても置かせて
いただきたいのです」と言うと、世の中の人は大抵2種類の反応を示す。
「パンですか?!面白いですね!」と興味津々で話を聞いてくださる方、
うんともすんとも言わない方(相手にしてくれません)。
私は運がとてもよく幸い前者の方に出会うことが多く、とても助かっているのだが、
後者の人と出会ったとしてもさして気にならない。
仕方ないなぁと縁がなかったのだなぁとこちらもともかく言わない。
それで終わりなのである。人の縁とはそんなものだと思っている。
私は商品をいつも探しているようで、人の縁を探しているのだなと時々思う。

角さんに初めて器を置きたいと言った時、「置かせてくれるの?」と
嬉しそうに言われたことが一番の驚きだった。
こういった場合、私は新米パン屋なわけで、角さんは個展を銀座やソウルで行っているような
陶芸家であり、水上先生の一番弟子であり、人生の先輩であるのに、そういう人が
私のような年下のチンチクリンに置かせてくれるの?と言うんです。
しかもパン屋ですから。私は目を丸くしました、そして、
こちらこそ置いていただけるのですか!となったのです。

角さんの工房に着くと、総勢5匹のワンちゃんがお出迎え。
お絵かきセットを持参して、ワンちゃんを描くんだと息巻いていた娘も、
大型犬たちが一斉に吠える様に、一瞬で泣き顔に。

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おやつとお茶で世間話が始まると、ようやく娘も落ち着きます。
小一時間、新参者がどうやって村に溶け込んでいくのか、楽しい会話が続きます。
角さんとお話していると、いつもこうです、本題には中々辿り着きません。
いつも楽しい世間話に花が咲きます。

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角さんの工房は旦那さまと一緒にセルフビルドで建てたそうです。
むき出しの鉄の骨組みや土間、無造作に並べられた道具、物を作る人の工房は
なんて素敵なのでしょうか。

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娘の調子もよくなったところで、

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本題です。さてどんな器を店に置いたらいいのでしょうか。

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角さんの器を手に取りながら、色、釉薬、フォルム、サイズ等、ざっくりと決めていきます。
そうです、オーダーメイドでウチに置く器を作っていただけることになりました。
好きな食器の話をしながら、煮詰めていきます。
意外だったのは角さんが北欧の食器を好きだったということです。
フィンランドのARABIAの話で盛り上がったり、昔の染付けの器を見せてくださったり、
あぁ角さんの器を好きになるのは必然のことだったんだと再確認しました。

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角さんの器は北御牧の土を主に使って作られています。
黒・白・土の色を中心に、細かい引っかきの模様や繊細な色付けが特徴的です。
こういった仕上げは手間がかかり、どうしても高価になってしまうので、
ウチで取り扱う器はシンプルな仕上げのものにすることにしました。

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ボーダーの仕上げのシリーズは色合いが渋いのにとても明るくモダンな印象です。

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私が角さんの器に受ける印象は、中性の魅力です。
女性らしい繊細な手仕事をされているのに、ラインがシャープでとてもすっきりしています。
なんというか清々しいという言葉がよく合います。シンプルな形とラインがお料理を引き立て、
尚且つ、軽くて丈夫で日常の食器としての魅力にも富んでいます。

3月末という〆切を2人で決めました。
春には角さんの器で皆さんをお迎えできることになりそうです。

そうそう、角さんにパン屋に器をよく置く気になりましたね!と言うと
「あたし、来るもの拒まず、去るもの追わずだから」。
あぁ~、私と一緒だぁ~とふかーく頷いたのでした。
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by wazawazapan | 2010-02-09 08:02 | ストーリーのあるモノたち


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